映画『シビル・ウォー アメリカ最後の日』

あの『エクス・マキナ』のアレックス・ガーランドが監督・脚本を手がけ、

内戦の勃発により戦場と化したアメリカを舞台に、

最前線を取材するジャーナリストたちを圧倒的没入感で描いた

アクションスリラーである。

50州中、19の州が離脱したアメリカでは、

テキサス州とカリフォルニア州の同盟からなる「西部勢力」と

政府軍の間で内戦が勃発し、各地で血生臭い武力衝突が繰り広げられていた。

権威主義的な大統領は「勝利が近い」ことを

テレビ演説で力強く訴えるが、ワシントンD.C.の陥落は目前に迫っていた。

戦場カメラマンのリーをはじめとする4人のジャーナリストは、

14カ月にわたって一度も取材を受けていない大統領に

単独インタビューを行うべく、ホワイトハウスを目指して旅に出る。

4人はニューヨークからの道中、内戦の恐怖と狂気を目の当たりにしていく。

まさに今年はアメリカ大統領選にあたり、ハリス(民主党)対

トランプ(共和党)の戦い真っ最中でアメリカは真っ二つに分かれている。

間もなくやってくる11月5日(火)アメリカ大統領選後、

さまざまな形でのアメリカ分断も予想にたやすく、

この映画はけっして絵空事とは言えないだろうと皆が思うはずだ。


映画『シビル・ウォー アメリカ最後の日』。

邦題のヒントになっただろう『合衆国最後の日』を見直してみた。

「大統領の代わりは何人でもいる」のセリフ後、

あっけなく抹殺される大統領を俯瞰で捉えるラストは

反骨精神溢れる稀代の名監督ロバート・アルドリッチの1977年の映画だ。

『シビル・ウォー アメリカ最後の日』も同じ末路を遂げるのか、

見所はそこにもある。

じつは、映画の予告編にちょっと不満があった。

迷彩服にピンクのサングラスをかけた民間兵が主人公たちと出くわす場面。

ライフルを向けながら、「オマエはどっちなんだ?」と問うシーン。

アジア人はあっさりと眉間を撃ち抜かれる。

身震いするほどの恐怖シーン。

この、「オマエはどっちなんだ?」と問うシーン、

全予告編に入れて欲しかったなぁ。

出演は「パワー・オブ・ザ・ドッグ」のキルステン・ダンスト、

テレビドラマ「ナルコス」のワグネル・モウラ、

「DUNE デューン 砂の惑星」のスティーブン・マッキンリー・ヘンダーソン、

そして「プリシラ」のケイリー・スピーニー。

ちなみに、「オマエはどっちなんだ?」のピンクサングラス男は

ジェシー・プレモンス!

キルステン・ダンストの実生活のパートナーである。

公開中の『憐れみの3章』では七変化の怪演で、

今年のカンヌ国際映画祭で見事男優賞を獲得しているので、

『シビル・ウォー アメリカ最後の日』鑑賞後にどうぞ。

圧倒的没入感ハンパないIMAXシアターで見るとこをお薦めする。

(武茂孝志)

『シビル・ウォー アメリカ最後の日』

10.4(金)より、TOHOシネマズ 日比谷ほか全国公開

監督・脚本:アレックス・ガーランド

出演:キルステン・ダンスト、ワグネル・モウラ、スティーヴン・

マッキンリー・ヘンダーソン、ケイリー・スピーニー

原題:CIVIL WAR/2024年 アメリカ・イギリス映画 109分

字幕翻訳:松浦美奈

PG12

提供:ハピネットファントム・スタジオ

配給:ハピネットファントム・スタジオ

公式X:@civilwar_jp

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